2023年1月26日木曜日

今だからこそ『ガリヴァ旅行記』

300年前に出版されたスイフトの『ガリヴァ旅行記』は読解が難しい。私は高齢者になった今でも正しく読めているのか全く自信がありません。しかし、第三篇「空飛ぶ島」は今の世界、特に超高齢化社会の日本にとって示唆に富む内容だと思いました。

不死ではあるが不老ではない王国、老化から逃れることはできず、いずれ身体も目も耳も衰え集中力も記憶も定かでなくなる。日々の不自由に延々と愚痴をこぼし、長く生きているために強大なエゴで周囲を見下す低俗な人間になっていく。やがて死なないことを嘆いて行く。

頑固で気難しくて何に対しても批判的で、、、、自分を見ていると、高齢化社会のネガティブな特徴が凝縮されているように感じます。日本の高齢化の問題は想像以上に大きい。ジジババや親が間違っていると子供は間違った大人に育ってしまいます。

第三篇、第四篇は「人間は愚かだから日々を大事にして一生懸命考えましょうね」と読めてしまいます。それは我々 ibg のポストコロナの羅針盤としてまとめた『迷子になる地図』に通じるところがあると思いました。日々考えて精一杯自分の人生を生きるということです。死が生に勝って、人は必ず死ぬ、不可逆的で日々死に向かって進んでいるのです。

だとすると、今の日本社会は多くの人が時間の感覚をなくして「わかんなぁ~~~い」じゃないでしょうか? 適応異常なのか過剰適応なのか、外圧に対して右往左往するだけで、自分では何処に行ったらいいか分からない状態、、、。 

正解はなくても大事なのは Seize The Day(今を生きる)ということです。平家物語や方丈記や徒然草の頃に日本人は無常ということを理解していたのです。

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