2017年2月13日月曜日

芥川龍之介の猿蟹合戦

兵庫県香住港から松葉ガニが送られてきました。

日本の民話である『猿蟹合戦』をパロディにしたのが芥川龍之介です。  

とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。語を天下の読者に寄す。君たちもたいてい蟹なんですよ。


『猿蟹合戦』 芥川龍之介 大正12年2月

もとの民話では、ずる賢い猿が柿の実をだましとって善良な蟹を殺害するのですが、蟹の子供が蜂、臼、栗の助けをかりて猿をボコボコにやっつけて殺してしまうという結末でした。

芥川龍之介は、私憤による殺人は大罪だ。罰するのは国家だけという法治の考えを強調したのか、仇討ちをした子供の蟹を度重なる裁判の結果死刑に処す後日譚を書きました。

蟹の猿を殺したのは私憤の結果にほかならない。しかもその私憤たるや、己の無知と軽率とから猿に利益を占められたのを忌々しがっただけではないか? 優勝劣敗の世の中にこう云う私憤を洩らすとすれば、愚者にあらずんば狂者である。

封建時代のモラルに支配された精神を近代国家のものへと自ら変えていく時代をパロディにしたのでしょう。 民主主義は昭和の戦争後にアメリカ占領軍が持ち込んだものではなく、日本には大正時代からあったのです。

焼きガニも食べました。焼きガニのほうが旨かった!

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