唐招提寺南大門の「ドローンの飛行禁止の張り紙」
4000日の平成大修理を終えた天平の甍
鑑真は10年を費やし5度の渡日を試みたが失敗し失明しました。 6度目の渡日で目的を達成したのです。 私の浅薄な思慮では計り知れないのですが、自分の人生に夢中になった人だったのでしょう。 鑑真和尚の眠りはドローンなんかで邪魔して欲しくないですね。
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『天平の甍』(井上靖 1957年)。
「……まことに日本という国は仏法興隆に有縁(うえん)の国である。いま日本からの要請があったが、これに応たえて、この一座の者の中でたれか日本国に渡って戒法を伝える者はないか」
たれも答える者はなかった。暫くすると祥彦(しょうげん)という僧が進み出て言った。
「日本へ行くには渺漫(びょうまん)たる滄海(そうかい)を渡らねばならず、百に一度も辿たどりつかぬと聞いております。人身は得難えがたく、中国には生じ難し。そのように涅槃経(ねはんぎょう)にも説いてあります」
相手が全部言い終らぬうちに、鑒真は再び口を開いた。
「他にたれか行く者はないか」
たれも答える者はなかった。すると鑒真は三度口を開いた。
「法のためである。たとえ渺漫たる滄海が隔てようと生命を惜しむべきではあるまい。お前たちが行かないなら私が行くことにしよう」
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