西尾幹二さんはテレビの対談番組なんかで失言も多かったけど、立派なドイツ文学者であり思想家でした。若い時に随分と勉強させてもらいました。西洋史学者の会田雄次(故人)も同じですが、ヨーロッパを研究してアメリカを見る人の洞察は非常に納得のいくものです。西尾さんに関して言いたいことは山ほどあるのですが、アメリカ大統領選が来週ということもあり一つだけ紹介します。アメリカの宗教性ということです。
アメリカはイスラエルと双璧をなす宗教国家です。ヨーロッパよりもはるかに神を信じます。ヨーロッパでいじめられた人々が新大陸に逃げてきたピューリタンです。ユダヤの起源と同じです(出エジプト記)。つまり、エジプトの迫害から逃れモーゼの下に集まった他民族の奴隷(後のイスラエル)とよく似ています。
日本人はアメリカの宗教性を考えない。明治・大正・昭和と考えて来なかった。和魂洋才の「才」ばかりに注目し「魂」を置き去りにした。アメリカという国は建国以来同じです。常に宗教を考え敵対する国の宗教(精神的主柱である魂の部分)をつぶすことを考えます。イスラエルと同じですよね? 昭和の敗戦直後のGHQ占領政策は、日本の宗教性(天皇を中心とした)をいかに消滅させるかを第一義としました。だから、歴史(国史)教育を禁止した。仕方がないので歴史を社会科の一部として組み入れた。即ち、宗教性(神話性)を抜いたものが社会科の日本史や世界史になった。これは令和の今でも変わりません。
歴史は革命(今でいうイノベーション)によって変化するというキリスト教的歴史観と、歴史は動かない、つまり、四季のように繰り返すと考えるアジアの歴史観は異なると教えてくれたのも西尾幹二の著書でした。 西尾幹二先生、R.I.P.
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