2020年5月16日土曜日

ポストコロナの未来

1996年

アメリカ、特にニューヨークはエゴイストの集まりです。それはリベラルな思想を支える個人主義の行き過ぎによるものです。自分さえ良ければいい態度から公共性が急速に蒸発しました。ところが自由を満喫しているうちに自由すぎる環境に疲れてしまった。行き過ぎた資本主義と民主主義がバランスを保てなくなったのです。

知的なアメリカ人は今回のウィルス騒ぎを機会に資本主義に代わる新たなシステムを模索し出すのか? アメリカの20~30年後を走っている日本はアメリカを反面教師とできるのか? この時期にレスター・サローを再読してみるのは参考になると思います。

アメリカでは80年代後半には中流の崩壊が始まりホワイトカラーのブルーカラー化が進みました(私がNYに移ったのは1989年)。サローなどのUSの知識人は米国の中流階級がもっとも豊かだったのは50年代後半から60年代にかけてだと言っています。サローは「階層化の深刻化であり、富の分配の不公平だ。社会主義の崩壊は資本主義の勝利ではなく、グローバル時代への対応もできていない」と言っています。

アメリカの20~30年あとをヒョコヒョコとついて行っている日本は今後ますます階層化が進むでしょうね。若者はもっと貧乏になり失業率は高くなる。商店などの自営業は成り立たなくなり、1~2%の人たちのみが豊かさを享受するようになる可能性が高い。果たして、むなしい日米間の上に安眠し国際情勢に全身を投げかけて平然としている日本は孤独になってとことん堕落し、一人荒野を歩いて、そこから這い上がることはできるか?!(坂口安吾調)。

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