この本は、日本女性の生涯や、幕末から維新の時代へとの日本文化の変化と武家の生活が理解できます。武家の古いしきたりを取捨選択し、時代や場所に適応していく。何を保守すべきかは、自分の物差しと判断力が必要です。隣国からの不愉快な言いがかりは端的な例ですが、今の混沌とした世界情勢の中、自国への理解と愛情が武力を持たない半国家日本の最大の武器である事を肝に銘じて欲しい。
武士の娘 (ちくま文庫) 杉本 鉞子
「夫は家族の頭であり、妻は家の主婦として、自ら判断して一家の支出を司っていました」「夫は自分でお金の要る時には、妻からもらい、夫に、地位相応の支給ができるのを妻は誇りとしていました。夫が外に出て、どれ程のものが必要であるかを知ることも、妻の教養の一部なのであります。時に、夫が肩をすくめて『それじゃ、都合が悪い』という事はありましても、家族全体とその地位とが夫の誇りであるからには、全体を傷つけては、夫自身の損失になるわけでありますから、先ず必要なものは、一家を支えてゆく為の入費です」(本書より)。
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