2019年6月24日月曜日

心の幸せ

鳥取砂丘のらっきょうで作ったらっきょう漬け

今年の桜桃忌(6月19日)は太宰治生誕110年でした。 太宰が追い求めた心の幸せを追求するのがこれからの日本にとっての進むべき道かも知れません。

『秋風記』は中期の作品です。後期の反俗精神に入る前の作品ということです。太宰は自分はダメな奴だという深い自覚があるから優しい。あくまでも心の幸せを追求する。金持ちの成功者は神のお加護があってエライというアメリカや、物質的な豊かさで誤魔化された独裁監視社会の中国とは真逆の世界観なのです。

「Kは、僕を憎んでいる。僕の八方美人を憎んでいる。ああ、わかった。Kは、僕の強さを信じている。僕の才を買いかぶっている。そうして、僕の努力を、ひとしれぬ馬鹿な努力を、ごぞんじないのだ。らっきょうの皮を、むいてむいて、しんまでむいて、何もない。きっとある、何かある、それを信じて、また、べつの、らっきょうの皮を、むいて、むいて、何もない、この猿のかなしみ、わかる? ゆきあたりばったりの万人を、ことごとく愛しているということは、誰をも、愛していないということだ。」(太宰治『秋風記』より)


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